剛力家の三兄弟
明憲のお使いに出た帰り、公園のベンチに座る男の子が真奈美の目に留まった。何故留まったかと言うと、彼の手にはカッターナイフがあり、尋常じゃない様子だったからで、そのまま、放っておくことも出来ず、真奈美は思わず声を掛けた。
彼の名前は、本木雅人、小学四年。
雅人は初め何も話そうとしなかったが、真奈美の親身になる姿に、少しづつ話し始めた。
なぜ、カッターナイフを持って居たかというと、近所の不良中学生が乗るバイクに、雅人の大事な家族であるマルチーズの、マロンをひき殺されたということだった。
酷い!
仔犬をひき殺して知らん顔してるなんて、許せない!
それに中学生はバイク乗れる歳じゃないでしょ!?
他人の真奈美が許せない様に、飼い主で、自分の家族と思っている雅人は、真奈美以上に許せないのだろう。
マロンの仇を討つ為、カッターナイフを持って、その中学生が通るのを待っていたという。