剛力家の三兄弟

「さて、そろそろ帰るか?」と言う禎憲。
「え?でも、明憲さんがまだ…」

20時を過ぎても明憲は帰ってこなかった。

どうしたんだろう…
何か問題でも起きてるのかな…

「明憲の事だ、悪い様にしない。そんなに心配しなくても、いいと思うよ?」

「・・・」

「それより、お袋に連絡した?遅くなるって?」

「あっ!」
忘れてた。やばい…

夕飯はお手伝いの美代子が作ってくれる。だから、夕飯の準備の手伝いの心配はないのだが、剛力家の約束ごとの1つとして、朝夕の食事は、家族揃って食べる事になっている。
私は居候ではあるが、一緒に食事の席に着かなくてはいけない。どうしても間に合わない時や、外で済ませる時は、必ず連絡を入れなくてはいけない事になってる。
朝食は7時で夕飯は20時と決まってる。

既に20時を過ぎてる事に、真奈美は、焦りと恐怖を感じてる。

「禎憲さんは連絡したんですか?」

「俺は毎度の事だし、怒られるのは慣れてるからね?」

「慣れてはいても、おば様の事は怖いでしょ?」

初めてここに来た日の、母親の顔を見て怯えた彼等の顔は忘れられない。

「バカじゃない。いい歳して、母親が怖いはずないだろ?」

へぇーそうですか?
それはそれは、楽しみです。

兎に角、早く帰らなくては…
と、言っても、禎憲さんは右足首を痛めてる。運転は無理そうだ。

「タクシー呼びますね?」

直ぐ来るであろうタクシーを真奈美達は、下で待っている事にした。

「慌てなくて良いですよ?」

「俺の事は良いから、先に降りて、タクシーを待ってろ!」

「肩貸しますって!」

「良いって言ってるだろ!二人して落ちたら、どうするんだよ?あんたまで怪我するだろ?」

なんだ、私の事心配してくれたんだ?
優しい所あるじゃん?

「へー、私を心配してくれてるんですか?」

「アホ!勘違いするな!あんたまで怪我したら、もっと人手が足りなくなるだろ?」

そりゃー、ランチの仕込みや、店番、事務所の掃除婦に電話番…私まで怪我したら、人手が足りなくなるのは分かるけど、だからって…




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