剛力家の三兄弟

「・・ひとが心配してやってるのに!人手が足りなくなる?」

「心配してくれなんて、誰も頼んでないだろ?」

そりゃー心配してくれなんて、頼まれてませんよ?
だからって…そんな言い方
「・・・・」

黙っていると、彼は更に失礼な言い方をした。

「えっ?俺、あんたに心配してくれって頼んだっけ?俺、頼むなら、もっと良い女に頼むけど?」

・・っ!?

「いいえ、頼まれてません!もう二度と心配しないし、手も貸しませんから!どうぞ、ひとりで階段降りて下さい!まぁ、転げ落ちたら、電話ぐらいはしてあげますよ?葬儀社に!」

「はあ?葬儀社って・・縁起でもないだろ!」

禎憲が下に降りて来た時に、丁度タクシーが到着し、タクシーのドアが開くと「お電話頂いた佐伯様ですか?」と、運転手の呼び掛けが有った。

“はい”と返事をして、“お電話した、佐伯です”と、自分が呼んだと強調し、「では、急ぎますので、お先に失礼します」と禎憲に向かって一礼し、タクシーに乗り込んだ。

「おっおい!……」焦る禎憲の言葉は閉まるタクシーのドアによって遮られた。

「あの…あの方は…」運転手の問いかけに真奈美は「構いませんので出して下さい」と答えた。

動き出すタクシーを、呆然と見送る禎憲の姿は、みるみる小さくなった。

ちょっと可哀想なことしたかな?
でも、心配するなって言ったのは禎憲さんだし…
勝手にすれば良いのよ!




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