剛力家の三兄弟
剛力家の当主は最高裁判所長官を務めていた。既に退官はしているが、退官後も何かと忙しい様で、夕飯はほとんど一緒では無かった。
「食事は美代子さんに任せて、真奈美さんは座りなさい。私から少し話がある」
あー今から私、お叱りを受けるんだ…
法子さんから怒られると思っていたけど、旦那様となると…
もしかしたら、ここを追い出されるかも…
“ルールも、守れない様な者は出てけ”ってとこかな?
そうなったらどうしよう…
出て行くにしてもお金無いし…
でもここまでご好意で、居させてもらったのだから、駄々をこねずに、黙って出て行こう…
これ以上迷惑かけれない。
「真奈美さんは三人の息子の誰のお嫁さんになるか決めたかね?」
は??
決める?
「法子からは、初めにその様に聞いてるが?」
「それは…奥様の勘違いと言うか…誤解でして…私は誰ともお付き合いしてませんので…」
「ん?当家と全く関係ない人間が、花嫁修行と言って、この家に勝手に居座ったと言うことかな?」
えー?
勝手にって…
私は無理矢理連れて来られただけで…
法子さん何とか言ってくださいよ?
憲剛さん!明憲さん!、禎憲さんも何とか言ってよ!
「あなた、これは新手な結婚詐欺ですわ!」と言ったのは、真奈美を剛力家を連れ帰った張本人の法子である。
法子さんなんて事を⁉︎…
「法子さんそれは、余りにも酷いです…」
「では、3ヶ月以内に誰の嫁になるか決めて貰いましょ?」
「ちょっと待って下さい!そんな大事な事…私が一人が決める事じゃ無いですよね?」
納得のいかない真奈美は、向かいの席に黙って座る三兄弟へ、助けを求めた。
「こんな結婚の決め方に納得するの?貴方達はそれで良いの!?いい歳して、自分の意見と言うもの持っていないの!?」
と、テーブルを叩いて詰め寄る。
「息子達は、もう承諾しています。」
はあ゛??
「兎に角、3ヶ月息子達を観て誰と結婚するか決めなさい。3ヶ月経った時、どうしても息子の誰とも結婚するのが嫌だと言うのなら、改めて考えよう。勿論、その時は結婚詐欺と訴える事もしない。」と、当主は言う。
「こんなの変よ!脅迫だわ!」
「あー因みに、言っておくわ、私も主人も優秀な後輩が居ますから。覚えておいてね?」と、法子は言う。
それは、訴えても無駄だと言う事?