剛力家の三兄弟

「随分お早かったですね?てっきり憲剛さんと外でお食事されて、帰られるのかと思ってました」

着替えを済ませ、夕飯の手伝いをしに台所に顔を出すと、美代子にそう言われてしまった。

「え、ええ。事件が起きたとかで…」

憲剛は帰りのタクシーの中で、電話を一本すると、玄関先で真奈美を降ろし、そのまま出かけて行った。

「憲剛さんは刑事さんですから、大変だと思いますよ?休みだろうと事件が起こると飛んで行かないといけませんから?」

へーそうなんだ?

「公務員だから、休みはしっかりしてるんだと思ってました。」

「いつだったか、憲剛さんがお風呂に入ってる時に、電話があって、お知らせしたら、飛び出して行かれましたよ?半分裸のままで…」

「えっ?あれだけ、身なりを気にしてるのに?」

「あの方は見かけと違って、本当は真面目な方ですよ?」

嘘っ…

美代子は、多分今夜は憲剛は帰ってこないだろうと言う。事件が起こると2、3日帰らないのはざらで、酷いと1週間帰らない事もあると言う。

「1週間ですか?」

「ええ、事件が解決する迄署に寝泊まりしていらっしゃる様ですよ?」

「えー本当ですか?女の人の所に行ってるんじゃないですか?」

以前夜中に着替えを取りに帰って来た憲剛を見た事があると美代子は真奈美に教えた。

「無精髭は生え、髪はボサボサで、スーツはシワだらけ、いつもお洒落な憲剛さんとは大違いでした」

へぇーちゃんと刑事さんしてるんだ?




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