剛力家の三兄弟

剛力家のある町のK駅で電車を降りると、ホームには憲剛が、真奈美を待っていた。

憲剛さん…

「何処に行ってた?」

「憲剛さんどうしたんですか?」

「聞いてるのは俺だ!」

「あーちょっと気晴らし?買い物?ナンパ?まぁ色々です!最近、遊んでなくて、息が詰まってたから?」

『バッシン!』

「痛っ・・」

真奈美は憲剛に叩かれた頬に手を当て、涙を必死に堪えていた。

「俺に捜索願い出させるつもりか!?」

「え?」

「明憲も、禎憲も、今も二人はお前を探してるんだぞ!」

「あれー心配掛けちゃいました?
やだなぁー、子供じゃないんだから、迷子になったりしないのに?」

「何があった?」

彼の優しい言葉に縋りたくなる。
でも、これ以上誰にも迷惑かけたくない。
かけてはいかない!

「何にも無いですよ?
ある訳ないじゃ無いですか?」

「じゃ、真っ直ぐ俺の顔見て話せ!」

「あーそれは無理です!
憲剛さん刑事さんだから・・
私、昔からお巡りさんや刑事さんって苦手なんですよね?
パトカー見ただけで、逃げたくなっちゃって…
多分、前世の私って、余程悪い人間だったんですね?」

「石川五右衛門とか言うか?」

「あっ!そうかも!
そっか私の前世は石川五右衛門だったんだ?
憲剛さん、私の事逮捕しちゃいます?
それとも、市中引き回しの上釜茹で?なんて今時、釜茹でなんてないか? アハハ・・」





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