カラフル
細い両目をぱっちり見開いて、奥瀬さんはいきいきとした表情で言った。


「えっと、でも……わたし、その……」
「そうよね、気になるわよね、うちはお宅の常連だし。今後、気まずくならないか、とか……」
「、は?」
「でも、大丈夫よ! 所長さんには私から連絡しておきますし、もしうまくいかなくても決してこちらは気まずいなんて思いませんから!」
「……は?」
「会ってみるだけでも、一歩前進になると思うの。うちの息子、慎重すぎるくらい奥手だから、心配で……」


ぱっと明るくなったり、かと思えば頬に手をあて物憂げになったり、コロコロと表情を変えて奥瀬さんは持論を展開させる。


「篠上さん、今日のお召し物、会社に戻って着替えるわよね?」
「はい?」
「うちの子、明後日から海外出張で、しばらく時間が取れないみたいなの」
「……え!」


鈍感なわたしは時間差でいろいろ理解する。

今夜、息子と見合いしろ、って⁉︎
でもそんなみすぼらしい服じゃちょっとね、ってこと⁉︎


「篠上さんみたいな大人しくてよく働いてくれて、なんでもお願いを聞いてくれる可愛らしいお嫁さんが来てくれたら、とっても嬉しいんだけどな」


いや、これ仕事だからこういうキャラなんだけども……。
それに。


「あの、わたし……大変恐縮なのですが、その……」


今お付き合いしてる男性が、と、喉まで出かかったけど、飲み込んだ。
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