カラフル
「篠上さん、仕事が丁寧で本当に助かるわ。今度から指名しようかしら」


掃除して、綺麗になった部屋を見渡して、奥瀬さんは冗談っぽく言った。


「そう言っていただけて光栄です。ほかになにか御用はありませんか? お買い物とか」
「ええ、今日は大丈夫よ。昨日息子が来てね、済ませてくれたから」
「そうだったんですか、お優しい息子さんですね」


ティーカップを持ち上げて紅茶をすすると。


「そうなの! とっても優しいのよ、親の私が言うのもなんですけど」


待ってましたと言わんばかりに、奥瀬さんは上半身を前のめりにして言った。


「食品会社に勤めてるんだけど、役職がついてけっこういいお給料貰ってるの」
「は、はぁ……すごいですね」


きっとご自慢の息子さんなんだろうな、と思って、わたしは調子を合わせ大仰に言った。


「ええ、見かけもね、それほど悪くないと思うのよ? それなのに、まだ独身で……」


ソーサーを太ももにのせ、奥瀬さんは不本意そうに眉間に皺を寄せる。


「きっとね、なかなか出会いがないだけだと思うの。相談所も考えたんだけど、あれってけっこうお金かかるじゃない?」
「はあ、そうらしいですね」
「だから篠上さん、」


存分に嫌な予感がして、わたしは身構える。しかし奥瀬さんは積極的だった。


「会ってみない? うちの息子に」
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