わたしを光へ。



「…全部ぶっ壊れればいい」



声が届くか届かないくらいの大きさで彼が呟く。



加賀くんは顔をバッと上げて、少し上から私を見下ろした。



その瞳は冷たい。



「ねえ美月、俺らは共犯者だよね」



まるで誰かが憑依したかのように、彼の様子が変わる。



目の前に居るのは加賀くんだけど、今迄とは明らかに違う。



「だって俺とキスしたんだよ?」



キョウハンシャ?



キスしたことが罪だと。



でもあれは、加賀くんが無理矢理やったことなのに。



「あのときは俺が美月の隙をついてキスしたかもしれない。でもさ、他の人に言える?俺と、キスしましたって」



その言葉に思考が止まる。



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