わたしを光へ。
加賀くんはそう言ってさっさと部屋から出ようとする。
「待って、花那をこのままに出来ない」
「美月!」
花那の側で縋り付く私を、冷ややかな目で見下ろす。
私が加賀くんに抱く感情は恐怖、それだけだった。
「ごめんね、怒ってないよ。でもはやく行きたいんだ」
今度は優しげに微笑んで言う。
恐怖で縛り付けて、甘やかして、何も言えなくする。
その効果は絶大だった。
後ろ髪を引かれながらも、私は加賀くんの後に付いていくしか無かった。
家を出る直前、玄関で一つ唇を落とされる。
それに満足そうな顔をした彼の後を追って、私たちは家を出た。