無愛想な同期の甘やかな恋情
穂高君が、再びゆっくり口を開いた。


「それでも、俺ともっと仲良くしたい?」

「え、っと」

「俺は、お前との間に、中途半端は必要ない。今が不満なら、男と女。……それでいい?」


穂高君の黒い瞳の奥で、なにかが揺れた。
その危うい光に気を取られている間に、彼が私に顔を寄せてきた。
私の視界いっぱいに、穂高君の顔が映る。
彼以外のなにも見えなくなって、今までにないくらい、接近しているのがわかった。


彼との距離感を自覚して、私が怯むより早く――。


「っ、んっ……」


唇に、温もりが落ちてきた。
一瞬、頭の中が真っ白になって、思考回路が停止した。
大きく目を見開いても、さっきから視界を占領している穂高君の顔は、近すぎてはっきり捉えられない。


彼は薄く目を開けて、至近距離から私の瞳を射貫いている。
私の反応を観察していることだけは、なぜかはっきりとわかった。


唇に重なるだけだった温もりに、動きが加わった。
下唇を食む感触がやけにリアルで、私の思考はやっと、穂高君とキスをしている現実に追いつく。


「っ……ふ、うんっ……!?」


無意識に漏らした吐息は、はっきりした音にならず、くぐもってしまう。


「ほ、だか、く……!」


必死に彼の胸に手を置いた。
力いっぱい腕を伸ばすと、私の唇から温もりが離れていった。
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