無愛想な同期の甘やかな恋情
私は、自分のスケジュールを確認しながら、「ううん」と軽い調子で返した。


「うちの研究主任は、仕事が早くて頼りになる」


クスクス笑いながらちょっと弾んだ声で答えると、篠崎君も目を細めた。


「美紅さんも、相棒を絶賛ですか~?」


からかうような口調。
彼はきっと、またあの社内報の盛りすぎな記事のことを言いたいんだろう。


「……優秀な研究員だもの。いいでしょ、絶賛したって」

「ですよね~。なんせ、美紅さんの相棒だってわかってても、なんとか穂高さんと組めないかって、うちの部の女子たちが狙ってるくらいですからね~」

「え」

「あれ。なに驚いてるんですか。優秀ってだけじゃなく、イケメンだし。仕事以外での接点も期待して、『私も組みたい!』って思うのが女心ってヤツでしょ」


男の篠崎君に『女心』を説かれ、私はぽかんと口を開けてしまった。
彼は、そんな私の反応を、面白そうにニヤニヤしている。


「美紅さんに向けられるのは、大半は羨望の眼差しですけど。女としては、妬まれてることも自覚しておいた方がいいですよー。たとえば、うちの部でも古谷さんとか……」

「……誰に妬まれてるかなんて、聞きたくない」
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