無愛想な同期の甘やかな恋情
私は彼から目線を外し、横顔を向けてわずかに唇を尖らせた。
素っ気なかったかな、と自分でも怯んだものの、篠崎君も言い過ぎたと自覚していたんだろう。
きゅっと口を噤んで、ヒョイと肩を竦めた。


「すみません。口が滑って余計なこと言いました」


人懐っこくてお調子者の後輩だけど、こういう素直なところが、彼の美徳。
彼は私に謝ってから、再び自分の仕事に戻っていった。


私もそれを視界の端っこで確認して、ほんの少しホッと息を吐いた。
気を取り直して、この後のスケジュールを目で追う。


残念ながら、今日は動かせない予定が詰まっている。
業務中に行くのは無理だな。
でも、穂高君は、私が飲み会の席で話題にしただけのことを、すぐに対応してくれたのだ。
私もその結果を早く確認したい。
本当は、穂高君と二人で会うのに、まだちょっと緊張はあるけれど……。


『業後になるけど、いいですか? 何時までいる?』


意を決して、彼のメールにそう返すと、五分ほどして返事が来た。


『今夜は、ラボに泊まり予定。そっちの都合いい時に、いつでもどうぞ』


最初のメール以上に短く素っ気ないのに、『いつでもどうぞ』があまり彼らしくない。
< 57 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop