無愛想な同期の甘やかな恋情
頭の中は、穂高君でいっぱいだった。
夜中ずっと、穂高君で埋め尽くされていた。
彼の顔が、目蓋の裏に完全に焼きついてしまっていて、ずっと離れてくれない。


仕事以外で彼が夢に出てきたことが、今まであっただろうか。
チームを組んで、『コンビ』なんて言われるようになって三年もの間、私たちの間に仕事以外の会話はなく、お互いプライベートに踏み込んだこともなかった。


夢の中の穂高君は、今もなお目の前にいるかと思うほど、鮮明だった。
私を見つめる黒い瞳も、『冴島』と呼ぶ低い声も。
あまりにリアルで、それが私の潜在意識だったのか、本当に夢だったのか、曖昧だ。


おかげで、私は全然眠った気がしないまま、翌朝、いつもより二時間も早く目覚めてしまった。


カーテンの向こうでは、すでに夜が明けている。
外の明るさに同化するかのように、私の部屋全体がボーッと白んでいる。


私はもぞっと上体を起こした。
ベッドの上で膝を抱えて座り、そこに顎をのせて、ぼんやりした思考を働かせる。


穂高君が私のこと好きだったなんて、一晩明けた後でも、やっぱり信じられないけど……。


私は確かに、本人の口からそれを聞いたのだ。
あんな、普通なら恋人同士じゃなきゃしないような濃厚なキスをされたのだ。


穂高君が、誰にでもそんなことをする人だとは思わない。
それなら、彼が言ったように、あんなことをした理由が、私のことが好きだからというのも、受け止めざる得ない。


「はあ……」


顔を伏せたまま、無意識に深い息を吐いた。


溜め息ついてる場合じゃない。
信じて受け止めて、穂高君の気持ちにちゃんと返事をしなきゃ。
私は意を決して、グッと顔を上げた。
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