無愛想な同期の甘やかな恋情
穂高君が無言で歩いてきて、私の前の席に腰を下ろす。
その間、私は彼から微妙に目を逸らしていた。


「……聞こえた、よな」


わずかに沈黙した後、穂高君の方から、ボソッと切り出してきた。


「っ、え?」


私はそれに反応して、弾かれたように顔を上げる。
穂高君は口元を大きな手で覆って、私から顔を背けていた。


「お前に、惚れ込んでるって」


手でくぐもってしまい、彼の呟きは聞き取りづらいけれど。


「わ、私に、じゃなくて、才能に、でしょ」


私の心臓が、ドッキンと大きく跳ね上がる。
頬がカアッと熱くなるのを感じながら、私は彼の言葉を訂正した。
なのに穂高君は、「いや」とそれを否定する。


「お前に、で、間違ってない」

「え?」

「冴島以外のこと考える、心の余裕もない」

「っ」


続けて重ねられた言葉に、私の心臓はドキドキと激しく拍動し始める。


「だ、だから。それも、私の企画、って」


ようやく引き始めていた汗が、再びジワッと滲み出すような気がした。


「……お前なんだって。マジで」


彼は口から手を離したものの、私から目線を外したまま、そう繰り返した。
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