一目惚れの彼女は人の妻
ヒロミンとピラ男〜俊輔Side〜
「あはは。宏美さんは、お腹空いちゃったのかな?」

「えーっ、今のは俊君でしょ?」

 え? 俺?

 俺か宏美さんのどちかのお腹が鳴ったのだが、ここは女性に敬意を払い、俺って事にしておいてやるか。実際のところ、俺かもしれないし。

「うん、俺だよね。腹減ったから、何か食べようか?」

「うん」

 という事で、俺達はイタリアンの店へ行き、赤ワインを飲み、サラダやピザを食べた。

「明日からゴールデンウィークだね?」

「え? あ、そう言えばそうかも」

「やだあ、知らなかったの?」

 宏美さんの事で頭が一杯で、カレンダーを見る余裕がなかったとは、さすがに恥ずかしくて言えなかった。

「宏美が言ってくれなかったら、俺、出社してたかもしれない」

「うそでしょ? 俊君ったら……」

 思わず”宏美”って呼び捨てにしたけど、宏美は気にならないみたいだから、まあいいか。

「じゃあさ、どこかにドライブしようか?」

「俊君、車持ってるの?」

「ああ。小さいけど」

「行く行く。楽しみだなあ」

 俺達は店を出て、後は帰るだけなのだが、正直なところ、俺は宏美と離れたくなかった。明日になれば、一緒にドライブとか出来るのだが。

「宏美」

「ん?」

「うち、来る?」
< 95 / 100 >

この作品をシェア

pagetop