オフィスの野獣
野獣に奪われた純潔

 月曜にカーテンの隙間から差し込む朝日は、特別眩しい。
 無理やりでも目をこじ開け、早く仕事に行けと急かすようだ。

 朝が得意ではない私は、もぞっと寝返りを打つ。何故か寝起きの身体がどっと疲れている。このまま目を閉じて眠ってしまいたい……。
 しかし社会人としてはそうするわけにもいかず、フッと目を開けると、見慣れない白亜の壁紙が視界に入る。借りているアパートはお世辞にも純白とは言い難い黄ばんだ壁と畳一間だ。
 フローリングの床、高い天井、身体を預けるふかふかのベッド……。どれも家にあるものじゃない。


 しかも、あることに気づいた。
 ふかふかのお布団の下は、何故か真っ裸だった。布一枚も履いていない。

 え? なんで? 突然裸族に目覚めることなんてあるの?

 自分の今の状況に狼狽えてしまうが、寝起きの頭では上手く状況を整理することができなかった。そうこうしていると、後ろから強い力で引っ張られた。
 人肌のぬくもりが、まだ混乱中の人の身体を、後ろから抱き寄せたのだ。



「んん……みや……こ……」


 藤下美弥子……それが私の名前だ。

 そして、同じように上半身真っ裸で私に抱きついてきたこの男には、見覚えがある。
 遊んだ髪がくすぐってくるのが鬱陶しい。しかも朝一番にこの男の顔を見ることになったこの状況が、やはり理解し難いのだった。

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