見上げる空は、ただ蒼く
だから。

きっと始めはほんの出来心だったんだ。

気付けば周りに対して
結乃の悪口を口にしてて、
それがだんだんエスカレートして。


そして、いじめに繋がった。

結乃は今もあの事故のことを
思い出してはいないはず。

だけど、もしそれを思い出したら。
優しいあいつは凜の行動を
肯定して自らを差し出すだろう。

自分は傷ついてもいいからって言って
記憶が戻ったことを伝えずに
凜のいじめに耐え続けるんだろう。

昔から、そういうやつだから。

『ただいま、飛行機が無事、
空港への着陸に成功いたしました。

シートベルトベルト着用サインが
消えるまで、シートベルトを締めて
その場に座ったままお待ちください。

本日は当飛行機をご利用下さいまして
まことにありがとうございました。』

翻訳された機内アナウンスを確認して
窓の外をぼんやりと見やる。

待ってろよ、結乃。















すぐにお前に、会いに行くから。
< 219 / 273 >

この作品をシェア

pagetop