見上げる空は、ただ蒼く
「ゆいのちゃんは、この家に
住んでる人なの?」

「そうだよ。お母さんと2人で
暮らしてるの。お父さんは
いなくなっちゃったんだ。」

思わず、お父さんが離婚で
いなくなったことも話してしまう。

「へぇ。僕はね、お母さんが
いないんだ。お母さん、去年
病気で死んじゃったの。今は
おばあちゃんの家に住んでるんだ。」

かな君は、お母さんがいないんだ。
私は、お母さんのいない生活を
頭の中で思い浮かべた。

殴られることもない。
出来損ないって言われることもない。

あぁ、そっか。
普通のお母さんは私のお母さんとは
違うんだ。

普通のお母さんは優しくて、いつも
褒めてくれて抱き締めてくれるんだ。

私も、そんなお母さんがほしい。

「おばあちゃんはね、すっごく
優しいんだ。いつも僕のことを
褒めてくれるの。」

嬉しそうに語るかな君が、
実を言うとすごく羨ましかった。
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