見上げる空は、ただ蒼く
奏は私の質問には答えず、
鋭い目で凜を睨みつけた。

「短剣すり替えたのは、お前だろ。
ふざけるなよ。俺は、
結乃を傷つける奴を絶対に許さない。」

え......?

凜が短剣をすり替えた?

頭の中が混乱する。
私は小さく頭を振って、
奏が説明するのを待った。

凜は涼しい顔で奏に手を
右手をさしだす。
そしてその手をひらひらと
振ってみせた。

「証拠はどこにあるの。
証拠がないのならそれは
事実ではないことになる。」

「俺が見てた。」

「目撃情報は完璧な証拠とは
認められない。意味がない。」

奏はぐっと唇を噛み締めた。
きっと奏は、物的証拠を
持っていないんだ。

凜、私に恨みでもあったの?

私がそう言おうとした、そのとき。

「証拠なら、ここにあるわ!」

ふいに葉音が叫んだ。
その手にはとても小さな
小型カメラが握られている。
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