見上げる空は、ただ蒼く
名前さえも知らないたくさんの
錠剤をいくつも飲んで、やっと
落ち着いたときにはヒステリーを
起こしたときからもうすでに
30分が経過していた。

私の前には、奏と奏のお母さんが
いて、2人そろって心配そうに
こちらを見ている。

「ごめんなさい、紗綾さん。
また迷惑をかけちゃってる。」

奏のお母さんである紗綾さんは、
今の私のお母さん、つまり
義理の母親というわけだ。

お母さんが飲酒による轢き逃げ
事件を起こして逮捕されたとき、
施設にいれられそうになった私を
見て養子縁組で引き取ってくれた。

紗綾さんは、私にとって感謝しても
しきれない命の恩人でもある。

「結乃ちゃん、謝らなくていいよ。
結乃ちゃんは悪くないんだから。

私は薬をもらってくるから奏と
一緒に待ってて。後、これからは
心的外傷後ストレス障害用の薬を
肌身話さず持ち歩いてほしいの。

もしも結乃ちゃんに何かあったら
耐えられないから。」

「わかった。ありがとうございます。」

なんで紗綾さんはあんなに
優しい人なんだろう。

奏もそうだ。

いつも相手のことを想いやっていて
本当にすごいなと思う。
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