見上げる空は、ただ蒼く
光を受けた硝子みたいな
美しい瞳にじぃっと見つめられて、
私は思わず目をそらす。

これは、身体に悪いな。

「別に、何も考えてない。」

あえて素っ気なく答えると、
奏は悪戯っぽく微笑んだ。

「結乃は俺の妹なんだから、
俺がいっぱい可愛がってあげるよ。」

「なっ......。」

なんで分かったの。いつでも
私の心を読みきってしまう奏に
図星を指されて恥ずかしくなる。

「やっぱり俺の予想は当たり?」

ニヤリと笑う彼に噛みつく。

「当たって、ないからっ。」

私がそう言ったところで、少し
深刻そうな表情の紗綾さんが
病室に入ってきた。

「紗綾さん、おかえりなさい。」

「母さん、結乃はどうなの。
いつごろ退院できそう?」

奏の質問に、紗綾さんの表情が
さらに曇った。

「それがね、結乃ちゃんの病状は
あまりよくないみたいで...。あと
1ヶ月は入院が必要らしいの。」

え......1ヶ月......?
混乱して、頭がついていかない。
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