見上げる空は、ただ蒼く
私は背中に隠したプリントを
ぎゅっと握りしめた。

今日の帰りの会で配られた、
授業参観のお知らせ。

「あの、お母さんこれ...」

「邪魔って言ってんでしょ!
どいて、出ていって!」

思いきり身体を押し倒されて
床に叩きつけられた。
そのままお母さんが私に馬乗りに
なって、首をしめてくる。

「出ていって、出てけ!アンタは
私にとって邪魔なのよ......!」

涙が滲む。

参観日、あるんだ。
ただそれが言いたかっただけ。
来てくれないって分かってても
伝えたかっただけなの。

ねぇ、お母さん。
なんで変わっちゃったの...?

息が出来なくて、咳き込んだ。
目の前がチカチカする。

私、死んじゃうのかな。
そう考えたら、
ものすごく怖かった。

誰か、助けて。

「だ......れか...っ!」

もうダメだ。
そう思ったとき。

ぴーんぽーん。

またしてもインターホンが
軽やかな音をならした。
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