千年愛歌
めぐり逢ひて 見しやそれともわかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな
桜舞う四月。俺、沖田海炎(おきたかいえん)は、中学二年生になった。

「おお〜!お前と一緒のクラスか!」

「やったな!よろしく!」

友達とそんなことを話していると、友達の一人が二年二組の生徒の名簿を見て、「よっしゃあ!」と大声で叫んだ。

「えっ?何だよ?」

友達の態度に驚き、俺は名簿を見つめる。特に変わった様子はない。

「そんな叫ぶ何かがあるのか?」

俺が訊ねると、「お前、ちゃんと見ろよ!」と友達が一人の名前を指差す。

「かぐや姫と一緒だぜ!」

そこには、村竹(むらたけ)かぐやと書かれていた。

かぐやさんは、この中学校では名前の知らない人はいないほど有名だ。腰ほどまである長い黒髪、日に焼けていない白い肌、誰もが振り向くような美人だ。かぐやだから、かぐや姫といつしか呼ばれるようになっていた。

かぐやさんが入学した際に、多くの男子生徒が彼女にアプローチしたらしい。しかし、かぐやさんは竹取物語のかぐや姫のように、無茶なお願いをし、男子をフッたらしい。
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