千年愛歌
花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
「今日は、前回の授業でも言ったように平家物語の冒頭部分のテストをするぞ〜!」

十月に入ってすぐのこと、三限目の国語の時間が始まると先生が言った。

教室からは、「無理〜!」「覚えてないよ!」というマイナスな声しか飛び交わない。

最近した席替えで、俺とかぐやさんは少し離れてしまった。斜め前に座っているかぐやさんがどんな顔をしているのかわからないけど、いつものように微笑んでいるのだろうか。

「自信があるという奴からテストするからな〜!前に一人ずつ出て来いよ〜!」

テストは廊下……などではなく、教室の教卓の前に立つ先生の前で発表する。失敗すれば公開処刑だ。

トップバッターには誰も出て行かない。必死でみんな教科書と睨めっこしている。まあ、俺もその一人なんだけど…。

すると、かぐやさんが立ち上がって先生の前へ進み出た。みんな顔を上げ、かぐやさんを見つめる。まさかのトップバッターだ。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ」
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