先輩と二人だけのあまい時間
「え?そう??
いつも冷たいから分かんないや。」



『異常ですよ。』



じわりじわりと冷たい感覚が、握ったてから伝わってくる。



「那央ちゃんの手は暖かいね。」



なんて呑気に言う先輩の手を話してポケットに手を突っ込む。



『コレ、使ってください。
風邪ひきますよ。』



ポケットから取り出したカイロを先輩の手に乗せてあげる。



1月の終わり、寒くないわけがない。



「え、でも。」



『私は、教室に予備が置いてあるので。』



「なら、ありがたく貰おうかな。
ありがとう。」



あげたカイロを両手で包む。



ピピ ピピ



「あ、そろそろ行かないと。
ショート間に合わなくなっちゃう。」



先輩は、腕時計のアラームを止めながらそう呟いた。
私もピアノの上に置いた腕時計をはめて時間を確認する。



「那央ちゃん、カイロのお礼は明日の朝。」
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