ただ愛してるだけ
私は、彼の方を向いた。

「通う?慶人君が?」

「ダメ?」

慶人君は、真顔で私の方を向いていた。

「ダメじゃないけど……」

「迷惑?」


迷惑じゃない。

でも、気持ちがついていかない。


「ねえ。通ってもいいって、言って。」

慶人君が、私の頬を触った。

私の目に、彼が映る。

「夕陽さん。あなたは僕の憧れだ。」

そう言って、彼の唇が私の唇と、重なった。


「ん……」

ゆっくり離すと、私の方からまたキスをした。

「んんっ……」

舌を絡め合って、お互いの感触を確かめ合った。

「夕陽さん。キス、上手いね。」

「慶人君の方こそ……」

茫然とキスの余韻に浸っていた私達は、しばらくしてハッとした。

「今の、誰かの撮られてないかな。」

「私達、迂闊だったわね。」

顔を見合わせて、私達は笑った。
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