本命チョコ達に込められた想い
2月14日、聖バレンタインデー。この日は世界各地でカップルの愛の誓いの日とされている。それは日本も例外ではなく、今では女性から男性へ好きな人にチョコレートを渡す日として定着している。そしてそれに乗っかって告白しようという高校生も吐き捨てるほどいる。まぁ、そのうちの一人に私が入っている訳だけど。と私、柿原舞香はこっそり思った。2月7日、決戦日の一週間前のことだった。
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「ねぇねぇ、今年はどんなの作る?」
「私…栗原くんにあげちゃおっかな〜」
「え〜!!それって本命ってこと!?」
一昨日くらいからクラスの女子達はこの手の話で持ちきりだ。まぁ仕方がない。なんてったって明日はバレンタインデー。しかも今年は去年みたいに先生の目をかいくぐってコソコソと渡す必要は無い。やっぱり高校生って自由だと思う瞬間だ。
「ちょっと、舞香!聞いてる?」
「あぁ、ごめんごめん。で、なんだっけ?」
「もぅ、やっぱり聞いてないじゃん!舞香は明日どうするのっていう、は、な、し!」
「私?友チョコと部活の義理チョコくらいかな?あ!ちゃんと亜美にも作るよ!」
「え!?やったぁ〜!ってそうじゃなくて!」
亜美がぐっと私の方に顔を近づける。亜美は誰が見ても可愛い癒し系女子だから、こんな風にされるとたまに変な気持ちになる(変な意味ではなく)。
「里見君には渡すの?」
「え、えーっとね……それは、そのー…」
私は咄嗟に髪の毛に手をやった。これは自分でもわかっている図星の時の癖だ。やめようと思ってもやめられない。
「あ!さては図星だな〜。髪の毛触ってるもん!」
当然のごとく同中の亜美にはお見通しだった。
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