あなたの隣で ~短編集~
「栞ーっ頑張れー!」


スパンッ!


「──……」


高校三年生の夏。


「……うっ」


私の青春は涙の味とともに、終わった。



「栞、惜しかったな」


テニス部の引退試合、インターハイで勝てたら伝えようと決めていた。


何かあるといつもこうやって慰めてくれる渚に。



「もう部活はないけどさ、また一緒にテニスしようよ。他のみんなも誘って」


絶対勝ちたかったのに。


勝って言いたかったのに。


……好きだよって。


負けちゃったし、もう伝える勇気も出ないよ。


「栞?」


何がいけなかったんだろう。


何であんなミスしちゃったんだろう。


何で──……。


「栞! そんなに気にするな。いつもの元気はどこに置いてきたんだよ。栞らしくないぞ」


「……」
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