星と太陽に魔法の歌を



俺は朔と別れた後、実家に帰ってきた。インターホンを押して出てきた母の後に付いてリビングに入ると、俺と同じ黄色の目を見開き、驚いた表情で俺を見ている弟がいた。

「に、兄さん…?」

「琥白、久しぶりだね。少し見ないうちに、こんなに大きくなりやがって…」

俺の名前は、山吹 望(のぞむ)。琥白の3つ上の兄で朔と同じく魔導師をしており、朔と同級生だった。

「あ、母さん。もう夕食は、朔と一緒にとったから要らない」

母に向かってそう言うと、母は「分かった」と微笑んだ。

「琥白、学校は楽しい?数学は分かる?」

「……学校は楽しいけど、数学は難しいな」

「やっぱり…」と肩を落とすと、琥白は「後で数学を教えてくれよ」と言った。

「分かったよ。後で俺の部屋においで」

俺はそう言い残し、俺が昔使っていた部屋に入った。部屋はあの時とあまり変わっておらず、母が定期的に掃除していたのか、きれいだ。

俺はベッドに倒れ込み、昔を思い出していた。

…そう言えば、美影くんは元気になったのかな?あの時、結構辛そうな顔をしていたけど。

しばらく昔を思い出していると、俺の部屋のドアが開いて琥白が入ってきた。

俺はベッドを降りると、琥白にイスに座るように促した。イスに座った琥白は、真っ直ぐに俺を見る。

「なぁ、兄さん…数学を教えて貰う前に、1つだけ聞いてくれ」

「どうしたの?」

琥白は、とある話をゆっくりと話し始めた。
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