人魚姫の涙

「ママの血液型が分かってから、ずっと考えてたの。自分が誰なのか」

「――」

「でも、血液型だけじゃどうしても納得できなかったの。もっと確かなモノが欲しかった」


紗羅の言う確かなモノ。

グルグルと頭を回転させる。

そして、ある言葉に辿り着いた。


「…DNA鑑定」

「――そう」


俺の言葉を聞いて、紗羅はコクリと頷いた。

ドラマや映画の中だけの言葉だと思っていたのに、その言葉が自分の口から零れた瞬間現実味が増す。

だけど、そこで一つの疑問が浮かび上がる。


「でも、紗羅の母親は紗羅が生まれてすぐに亡くなったんじゃ……?」

「そう。だから日本に来たの」

「――骨?」

「ううん、違う。骨からだとDAN鑑定をするのは、とても難しいの」

「だったら――」


フルフルと首を横に振って、そう答える紗羅。

そして、俺を見上げてしっかりとした口調で言った。


「へその緒」
< 188 / 344 >

この作品をシェア

pagetop