人魚姫の涙
「それでなんとなく感づいてね。パスポートがなくなっている事が分かって、もしやと思った」
「――」
「どうも、私が事故にあってから紗羅の様子がおかしくて、半信半疑でここに電話をしたんだ――」
そう言って、母さんの顔を見るおじさん。
すると、コクンと小さく頷いて、おじさんの横に母さんも静かに腰を下ろした。
「紗羅が来ていると聞いてね。それに、もしかしたら気づき始めているって」
気づき始めている――。
それは、暗に告げられる真実が良くない事だと言っているように感じた。
その言葉を聞いて、今から語られる事の不安がより増した。
もしかしたら、今から告げられる真実は俺達の人生を大きく変えるものかもしれない。
そして、恐らくそれを聞いたら俺達は元には戻れない。
それだけは分かった。