ノンフィクションにご注意を
堪らず体を捻ってどうにか左手で許斐君の右手を止める。


「っ――…」


その瞬間許斐君は驚いた様に目を丸くして、バッ!と私から離れた。


「許斐君…?」


上半身をベッドから起こして名前を呼ぶと、拳を口に当てて狼狽えている様子の未来の義兄。


なんだか微かに、頬が赤い様な……


「わっ、悪い溝渕…今の事は忘れてくれ」


「えっ?忘れてくれって――――…」


「オレもう寝るわ…じゃあな」


「へっ!?ちょっと待ってよ!」


私と目を合わせないで早口でそう言うと、本当に出て行ってしまった。


「な、なんだったの……」
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