ふうこさんと見えない夏目くん
「……非現実的なことを言うんだね?」

「そもそも俺の存在が非現実的だよねえ!」


あはは、と陽気に笑う彼。
自分が幽体となってしまったのに、なんというポジティブさ。


「どうせなら普通じゃやらないこと、やりたいじゃん。もちろん2人にお咎めが無いように、俺がちゃんと考えるよ。どう?」

「絶対に誰にもバレないことが前提で、家を夜抜け出すってのが難しそうだなぁ。時間は何時頃?」


門限があったりする訳じゃないが、夜出掛けるとなると、それなりの理由が必要だ。


「どうやら夜8時くらいまでは先生、居るみたいなんだよね。だから9時、とか?」

「9時、かあ。そんなに遅い時間に出かけたことないから、お許しが出るかどうか」

「友達のお家でご飯ご馳走になるとかさ、嘘ついて何とかならない?」


引き下がるつもりはないようで、お願いします、と頼み込んでくる夏目くん。

聞くだけ、聞いてみるかなぁ。
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