【完】絶えうるなら、琥珀の隙間
「さ、早く行きましょ!」
わくわくした様子のユタに手を引っ張られ、カヤはハッとして思わず足を踏ん張った。
「ちょっと待って!私、踊った事なんてないよ……!」
焦ってそう言うが、ユタもナツナも笑い飛ばした。
「気にしないの、そんな事!」
「そうですよー、カヤちゃん。大丈夫なのです」
「む、無理無理!私は良いから2人で踊ってきて!」
踊った事ないどころか、こんな踊りを見る事さえ初めてなのだ。
馬鹿みたいに立ち尽くすのが目に見えている。
必死に踏みとどまっていると、ふとナツナが何かに気が付いたように声を上げた。
「あれー、ミナトじゃないですかあ」
後ろを振り向くと、ミナトがこちらに向かって歩いてきていた。
その顔は少し疲れ気味で、恐らく今日一日中、気を張りながら見回りをしていたんだろうと分かった。
ミナトは人ごみを縫いながら3人の所へやってくると、訝し気な声を上げた。
「……なんだ、お前らいつの間に仲良くなったんだ?」
その眼がカヤとユタをチラリと見据える。
「えへへー、今日ですよ!すっかりお友達になったのです」
嬉しそうに笑うナツナに、ミナトは「ふーん」と頷いた。
「ま、良かったんじゃね。せっかくだし楽しんどけば?」
「ミナトは踊らないのですか?」
「阿呆。仕事放って踊れるか」
鼻で笑ったミナトは「じゃあな」と言ってその場を去っていこうとする。
そんな彼の腕を、ナツナが唐突にガシッ!掴んだ。
「うお!?なんだよ?」
「丁度良いです!ミナトも一緒に踊りましょう!」
驚くミナトに向かってそう言い放ったナツナの言葉に、その場の全員が目を剥いた。
「はあ?いや、だから俺、仕事が……」
「少しくらい大丈夫ですよ!せっかくの祭事なのですから皆が楽しまないと意味が無いのです!ほらほら!」
「ちょ、おまっ……」
ぐいぐいとナツナに引っ張られ、ミナトはよろめくようにして引きずられていく。
その様子を唖然として見ていたカヤとユタに、ナツナが声を掛けてきた。
「2人とも早く来るのですよー!皆で踊るのです!」
「っナツナ、人の話を聞けって!つか、お前っ、どんだけ力強いんだよ!?」
「ふふふー。台所の女性は力持ちなのですよー」
カヤとユタは一瞬顔を見合わせ、それから可笑しくなって笑いだした。
「ほら、カヤ。このままじゃ私余っちゃうわ。行きましょ?」
冗談めいたように言ったユタが差し出す手を、しっかり握る。
「……うん!」
大きく頷き、ナツナ達に続いて目の前の群衆に飛び込んだ。
輪の中は、ひっきりなしに誰かと肩が触れるほどに混雑していた。
「どうやって踊れば良いの?」
「適当よ、適当!見て覚えなさい!」
尋ねたカヤに、ユタはそれこそ適当な返事をした。
そんな無茶な、と思った瞬間、ユタに腕を組まれてと引っ張られる。
軽快な音楽に合わせてユタが弾むように踊りだした。
見よう見まねで、必死にそれに付いていく。
右足で地面を蹴って、今度は左足。
2回続けて右、右。左、左。
それからその場でカヤが一周して、次はユタがくるんと回る。
「良い感じじゃないの!」
そう言ってユタは心底面白そうに眼を細めた。
わくわくした様子のユタに手を引っ張られ、カヤはハッとして思わず足を踏ん張った。
「ちょっと待って!私、踊った事なんてないよ……!」
焦ってそう言うが、ユタもナツナも笑い飛ばした。
「気にしないの、そんな事!」
「そうですよー、カヤちゃん。大丈夫なのです」
「む、無理無理!私は良いから2人で踊ってきて!」
踊った事ないどころか、こんな踊りを見る事さえ初めてなのだ。
馬鹿みたいに立ち尽くすのが目に見えている。
必死に踏みとどまっていると、ふとナツナが何かに気が付いたように声を上げた。
「あれー、ミナトじゃないですかあ」
後ろを振り向くと、ミナトがこちらに向かって歩いてきていた。
その顔は少し疲れ気味で、恐らく今日一日中、気を張りながら見回りをしていたんだろうと分かった。
ミナトは人ごみを縫いながら3人の所へやってくると、訝し気な声を上げた。
「……なんだ、お前らいつの間に仲良くなったんだ?」
その眼がカヤとユタをチラリと見据える。
「えへへー、今日ですよ!すっかりお友達になったのです」
嬉しそうに笑うナツナに、ミナトは「ふーん」と頷いた。
「ま、良かったんじゃね。せっかくだし楽しんどけば?」
「ミナトは踊らないのですか?」
「阿呆。仕事放って踊れるか」
鼻で笑ったミナトは「じゃあな」と言ってその場を去っていこうとする。
そんな彼の腕を、ナツナが唐突にガシッ!掴んだ。
「うお!?なんだよ?」
「丁度良いです!ミナトも一緒に踊りましょう!」
驚くミナトに向かってそう言い放ったナツナの言葉に、その場の全員が目を剥いた。
「はあ?いや、だから俺、仕事が……」
「少しくらい大丈夫ですよ!せっかくの祭事なのですから皆が楽しまないと意味が無いのです!ほらほら!」
「ちょ、おまっ……」
ぐいぐいとナツナに引っ張られ、ミナトはよろめくようにして引きずられていく。
その様子を唖然として見ていたカヤとユタに、ナツナが声を掛けてきた。
「2人とも早く来るのですよー!皆で踊るのです!」
「っナツナ、人の話を聞けって!つか、お前っ、どんだけ力強いんだよ!?」
「ふふふー。台所の女性は力持ちなのですよー」
カヤとユタは一瞬顔を見合わせ、それから可笑しくなって笑いだした。
「ほら、カヤ。このままじゃ私余っちゃうわ。行きましょ?」
冗談めいたように言ったユタが差し出す手を、しっかり握る。
「……うん!」
大きく頷き、ナツナ達に続いて目の前の群衆に飛び込んだ。
輪の中は、ひっきりなしに誰かと肩が触れるほどに混雑していた。
「どうやって踊れば良いの?」
「適当よ、適当!見て覚えなさい!」
尋ねたカヤに、ユタはそれこそ適当な返事をした。
そんな無茶な、と思った瞬間、ユタに腕を組まれてと引っ張られる。
軽快な音楽に合わせてユタが弾むように踊りだした。
見よう見まねで、必死にそれに付いていく。
右足で地面を蹴って、今度は左足。
2回続けて右、右。左、左。
それからその場でカヤが一周して、次はユタがくるんと回る。
「良い感じじゃないの!」
そう言ってユタは心底面白そうに眼を細めた。