初恋をもう一度。【完】
夜、部屋でのんびりテレビを観ていたら、スマホの通知音が鳴った。
『ごめん、バイトだったー』
鈴木くんからだった。
老人ホームから帰ってきて、なんだかやりきれない気持ちだったわたしは、夕方彼に「ちょっと話したいな」というメッセージを送っておいたのだ。
「いえいえ、お疲れさま」
『ありがと。あ、おばあちゃん元気だった?』
老人ホームに行く日だったことは、午前中に報告済みだ。
「うん。でも、さらに痩せて小さくなってた」
『そっか。会うの辛い?』
「うん。会いたくないわけじゃないけどね」
『でもね、奈々ちゃん』
「なあに?」
『会えるうちに会った方がいいよ』
鈴木くんは、母と同じことを言った。
「そうだよね、わかってる」
『偉そうなこと言ってごめんね。でも』
次のメッセージまで、少しだけ間が空いた。
『俺つい最近、身内を亡くしたばっかだからさ』
予想だにしなかった言葉が、そこに表示された。