僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
親父から聞いた話によれば、悠斗は「よく頑張っておられます」と言っているらしい。

親父と住職、悠斗は密に連絡を取り合っているようだ。

あたしに護衛が着くということは当然、総長である親父にも護衛が着いているということだ。

沖永を筆頭に、公私共に腕っぷしの秀でた者が護衛として、人選されているはずだ。

悠斗は卒業式後、つまり盃を請けた後から、神社に戻っていない。

組に馴染むために、親父と住職の間で神社の方はしばらくお預けになっているようだ。

住職の世話も神社の食事も小僧や僧侶が、騒々しく行っている。

あたしも僧侶に言われるまま手伝っているが、やはり悠斗の居ない神社は締まりがない。

悠斗が如何に優秀な僧侶だったかをしみじみと感じている。

「悠斗さん、マジ料理上手だよな。ずっと組に居て台所に入ってくれないかな」
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