【完】浮気という名を心の片隅に
「……………。」
現在私は、授業もまともに聞けない状態にな
っていた。
佐久間くんのあの暗い顔と、朝会ったときに
言われたセリフが頭から離れなかった。
沈黙する中、横から親友の夏帆(かほ)が服
の裾を引っ張ってきた。
「どうしたの?何かあった…?」
「……何もない……よ。」
私達は、授業中なため小声で喋りがら会話を
続けた。
「昨日、デートだったんでしょ?」
「うん……。楽しかったよ…、楽しかったんだ
けど……。」
口に出した途端、ますます暗い顔になってし
まった私を見て夏帆は慌てて肩を掴む。