【続】碧くんしか見てないよ
「………あ、そ、そういえば、明日予定あったんだった!」
わたしは慌ててそう言って、笑顔を作った。
一瞬で雲に覆われた胸を隠すように。
良いのか悪いのか、駅へたどり着き、ちょうどやってきた電車に碧くんは乗っていった。
「じゃあ、また来週の金曜日に!」
碧くんは笑顔で手を振ってくれた。
単純なわたしはすぐに嬉しくなって手を降り返す。
だけれど………電車が出発し、姿を消したあとに………
もう一度、もやもやが胸に現れ出てきた。
“紺野さんは、来たらだめ”
………………断られ……ちゃった。
週に一度一緒に下校してくれているだけでもありがたいことなのに、
休日に部活を見に行っていいかだなんて、ずうずうしかったよね………。
彼女でもないのに………。
「あー、碧の彼女だ」
胸が苦しくなってうつむいていると、となりにだれかやってきた。