契約結婚なはずの旦那様に気づけばグイグイ迫られてます。
契約結婚、いたしませんか?
「ディミタス候爵様、わたくしと契約結婚いたしませんか?」


ふわりと風に赤い薔薇の花弁が舞う。
美しく整えられた薔薇の庭。

その片隅で、

「きっとわたくしたち双方にメリットがあると思いますの」

そう言ってにっこりと笑みを浮かべたのはそこに咲き誇るのと同じ、紅薔薇のような少女だった。


ディミタス候爵ーーアンリ・ラス・ディミタスはその紫紺の目を驚きに見開いて、目の前に立つ年若い少女を唖然と見つめた。

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