気がつけば、恋のはじまり
「あっ、そ、そういえば、ここまで運んでくれたのって誰だろう?打ち合わせ中に倒れたんだもんね・・・」

確実に、誰かがここまで運んでくれた。

質問すると、宮本くんは偉そうな顔でフン、と笑った。

「オレ」

「!」

「お姫様抱っこで担いでやった」

「・・・!?」


(ほ、本当に!?)


想像し、頬がぼぼっと燃え上がる。

宮本くんに、お姫様抱っこをされていたって・・・。

思いきり動揺しまくると、宮本くんは「ぷっ」と吹き出す。

「嘘だよ」

「え?」

「そうしたかったけど。有島さんにその役取られた」

「あ、有島さん・・・!?」

有島さんは、アルトリード社の社員で長身の美貌の女性。

歳は、私と同じ25歳だと聞いている。

けれど、同い年とは思えないほど博識で仕事ができて、尚且つ優しく美しい、憧れのスレンダー美女なのだ。

「あの有島さんが、私をお姫様抱っこで運んでくれたの?」

「そう。ああ見えて、学生の頃レスリングやってたんだって。ライフセイバーの資格も持ってるとかって言ってたな。かっこよかったぞ、芹澤が倒れた途端、さっと駆け寄って状態見てさ、軽々とおまえを持ち上げた」

「・・・!・・・そ、そうなんだ・・・」


(なんか、恥ずかしい・・・)


それはそれで、また赤面。

あんなに完璧で素敵な女性に、抱き上げてもらっていたなんて。

まるで、宝塚の世界のようだ。
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