魔法の鍵と隻眼の姫
「夜が明けぬ内に出立するがよい」

手荒に治療されたラミンが痛い体を擦っているとモリスデンが言った。

「アマンダ達の記憶は…」

「既に消しておる。夜が明けるまで全員眠らせておるからその前にここを出て行け。知らぬ者がおったら騒ぎになるからのう」

髭を触るモリスデンに安堵したラミン。

「そうか…ありがとう…」

「なんじゃ素直じゃな気持ち悪いぞ?」

「うっ……うっせえ、素直で悪いか!」

フォッフョッと笑うモリスデンにからかわれたと気付いたラミンは片手で顔を覆う。

「わしらはそろそろ去るとしようか。セイラス」

「はい」

呼ばれたセイラスがミレイアの頬にキスをして「いつでも見守っているよ」と耳元で囁いた。
またムッとしたラミンは、はたと気付いた。

「そういやお前達どうやってここに来たんだ?」

何となく答えは分かっているが聞いたラミンに不敵に笑うモリスデン。

「そりゃわしは大賢者様だからのう、瞬間移動なぞお手のものじゃ!」

フォッフョッフォッと笑うモリスデンに呆れるラミン。

「何だよ、じゃ俺達もその瞬間移動で連れてってくれりゃいいのに」

「それじゃ意味がないのじゃ!二人で旅をしないといけないと言っておろう!」

「いでっ!殴ることないだろ!?」

ガツンと持ってた杖で殴ったモリスデンはふんと腰に手をやる。

「この旅でラミンとミレイアの心が通わないと世界を救うことは叶わん!いい加減察しろ馬鹿もんが!」

「……何だよそう言うことは先に言え」

殴られた頭を擦り不貞腐れるラミン。
二人のやり取りを静観していたセイラスはププと笑う。

「ラミン、始めにその事を聞いたらそんな事やってられるか!って断ってたんじゃない?」

確かに、始めにその事を聞いていたらこんな小娘相手に心通わすって何だ?と年の差をかさに断ってたかもしれない。

「今は?それを聞いてどうする?この旅をやめるかい?」

黙り込むラミンにセイラスが問いかけるとラミンは首を振った。

「いや、乗り掛けた船だ。最後まで貫き通す」

真っ直ぐと真剣な眼差しで見返してくるラミンに満足したセイラスは彼の肩に手を置くとその手に力を込めた。

「ラミン、今一度我が愛しい姫を託す。またミレイアを苦しめることがあったらそのときは分かってるね?」

「ああ、分かってる」

「ふん、わしらはいつでも見とるぞ。さあ、次はシエラ王国、アレキサンドに行くのじゃ。そこにお前の知りたかった答えがある」

やっぱりシエラ王国か。
自分の不甲斐ない選択を悔やむ間もなく立ち去ろうとするモリスデン達をラミンが呼び止めた。

「頼みがある…」

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