魔法の鍵と隻眼の姫
「お前、何を今更。俺とお前じゃないと世界を守れないってジジイに言われてるだろが」
ラミンは呆れたように言う。
わかってはいるけどラミンを危険な目に合わせるくらいなら自分一人犠牲になった方が…
「お前、一人で死ぬつもりじゃないだろうな?」
はっと顔を上げたミレイアの横に移動したラミンは両頬を挟み自分に向ける。
「俺が死なせやしねぇ、絶対に守り切る」
揺れる左目を覗き込むと紫の瞳に自分の真剣な顔が映る。
ミレイアは何も言えずただ見つめるだけ。
「運命を受け入れ俺と旅をしろ。……お前が初めて会った時に言った言葉だ。俺は運命を受け入れてここにいる。言った本人がそんなんでどうすんだよ?」
「だって…」
反論しようとするミレイアの頭を抱え込むように抱き締めた。
「もう何も言うな。絶対に世界を救って俺達は生きて帰るんだ。国にはお前を待ってる奴らがいるだろ」
「……うん」
忘れた訳ではないが国王と王妃、二人の兄たちが帰りを待っている。
自分が死ねば彼らがどんなに悲しむかも溺愛されてきたミレイアには分かっている。
それでも、ラミンを守ることが出来るなら自分が犠牲になってもいいと思うようになっていた。
自分より、家族より大切な人。
いつの間にか想いが膨らんでいた。
これが恋というものなのか本でしか恋というものを知らないミレイアにとって分からないことだらけだけど、抱き締められてるだけで胸が高鳴りそれと同時に安心感が心を満たし、ただそれだけでも価値のあることなんだとミレイアは思う。
深くため息をついたミレイアをより強く抱き締めるラミンはこの王女を絶対に守ると心の中で誓う。
家族の元に生きて帰すだけじゃなく、生きていて欲しい、眼帯が取れ心から笑える日が来ることを願う。
固い決心と心を満たす何かが自分を強くするとラミンは思っていた。
その何かは…今は考えないことにする。
「…んっラミン、苦しい‥」
「お?」
知らずに力が入り過ぎてたらしい。苦しそうにしていたミレイアが緩めた腕の中からにょきっと顔を出す。
「っはあ、窒息するとこだったわ…」
「わりいわりい」
間近にあるさくらんぼのような唇にドキッとしながら大きく息を吸うミレイアの頭を苦笑いでぐりぐりと撫でまわすと、髪の毛がぐしゃぐしゃになりジト目で無言の抗議をされる。
ノニも髪の毛がら飛び出してきて寝ていたのを邪魔されてプンプン怒ってるようだ。
顔を引きつらせ髪を撫でつけ整えるラミンは、手櫛でさらりと髪が流れていく様を見ながら言った。
「お前は慣れないことだらけの旅なのにここまで良くやったと思うよ。もう一息なんだ、ここで心が折れたら今までの苦労が台無しになるぞ?必ず全て上手く行くから何も心配するな」
「ラミン…」
最後に頭をポンポンと撫でニカッと笑うラミンにミレイアは嬉しそうにハニカミ頷く。
ラミンが大丈夫だと言うと本当に全て上手く行くように思えた。
そしてミレイアは自分からラミンの胸に寄り添う。
「あ?おい…」
「ラミンはあったかいね。安心する…」
身体を預けてくるミレイアにしょうがないなと言う顔をしたラミンはそっと腕を回した。
ノニが二人の周りを飛んで金粉を撒くとラミンの頭の上に落ち着いた。
ほんわかとした空気が馬車に立ち込めラミンもミレイアも甘く疼く心を感じていた。
ラミンは呆れたように言う。
わかってはいるけどラミンを危険な目に合わせるくらいなら自分一人犠牲になった方が…
「お前、一人で死ぬつもりじゃないだろうな?」
はっと顔を上げたミレイアの横に移動したラミンは両頬を挟み自分に向ける。
「俺が死なせやしねぇ、絶対に守り切る」
揺れる左目を覗き込むと紫の瞳に自分の真剣な顔が映る。
ミレイアは何も言えずただ見つめるだけ。
「運命を受け入れ俺と旅をしろ。……お前が初めて会った時に言った言葉だ。俺は運命を受け入れてここにいる。言った本人がそんなんでどうすんだよ?」
「だって…」
反論しようとするミレイアの頭を抱え込むように抱き締めた。
「もう何も言うな。絶対に世界を救って俺達は生きて帰るんだ。国にはお前を待ってる奴らがいるだろ」
「……うん」
忘れた訳ではないが国王と王妃、二人の兄たちが帰りを待っている。
自分が死ねば彼らがどんなに悲しむかも溺愛されてきたミレイアには分かっている。
それでも、ラミンを守ることが出来るなら自分が犠牲になってもいいと思うようになっていた。
自分より、家族より大切な人。
いつの間にか想いが膨らんでいた。
これが恋というものなのか本でしか恋というものを知らないミレイアにとって分からないことだらけだけど、抱き締められてるだけで胸が高鳴りそれと同時に安心感が心を満たし、ただそれだけでも価値のあることなんだとミレイアは思う。
深くため息をついたミレイアをより強く抱き締めるラミンはこの王女を絶対に守ると心の中で誓う。
家族の元に生きて帰すだけじゃなく、生きていて欲しい、眼帯が取れ心から笑える日が来ることを願う。
固い決心と心を満たす何かが自分を強くするとラミンは思っていた。
その何かは…今は考えないことにする。
「…んっラミン、苦しい‥」
「お?」
知らずに力が入り過ぎてたらしい。苦しそうにしていたミレイアが緩めた腕の中からにょきっと顔を出す。
「っはあ、窒息するとこだったわ…」
「わりいわりい」
間近にあるさくらんぼのような唇にドキッとしながら大きく息を吸うミレイアの頭を苦笑いでぐりぐりと撫でまわすと、髪の毛がぐしゃぐしゃになりジト目で無言の抗議をされる。
ノニも髪の毛がら飛び出してきて寝ていたのを邪魔されてプンプン怒ってるようだ。
顔を引きつらせ髪を撫でつけ整えるラミンは、手櫛でさらりと髪が流れていく様を見ながら言った。
「お前は慣れないことだらけの旅なのにここまで良くやったと思うよ。もう一息なんだ、ここで心が折れたら今までの苦労が台無しになるぞ?必ず全て上手く行くから何も心配するな」
「ラミン…」
最後に頭をポンポンと撫でニカッと笑うラミンにミレイアは嬉しそうにハニカミ頷く。
ラミンが大丈夫だと言うと本当に全て上手く行くように思えた。
そしてミレイアは自分からラミンの胸に寄り添う。
「あ?おい…」
「ラミンはあったかいね。安心する…」
身体を預けてくるミレイアにしょうがないなと言う顔をしたラミンはそっと腕を回した。
ノニが二人の周りを飛んで金粉を撒くとラミンの頭の上に落ち着いた。
ほんわかとした空気が馬車に立ち込めラミンもミレイアも甘く疼く心を感じていた。