好きだと言ってくれるのに…ヤキモチ妬いちゃう
誰かが質問した。
「御崎さん、前の学校では部活はしてたの?」
「前はサッカー部のマネージャーをしてたよ」
私はすかさず言った。
「私、サッカー部のマネージャーしてるの、よかったら見学にこない?」
「そうなの?じゃあ見学させてもらおうかな」
ニコッと微笑んでくれた。
やったー、実は今年は一年のマネージャーが入らなかった。
三年が引退した今、私一人でこなしている。
人手は正直欲しいところだった。
放課後、私は御崎さんを連れてグランドに行った。
「二年生の途中だったから正直部活は考えてなかったの」
「マネージャーだもん大丈夫よ、それに今、私一人で手が足りないっていうか……でも強制するわけじゃないから自分で決めてね、入らなくても全然気にしないからね」
「マネージャー、ちわっす」
「こんにちは」
琴菜は後輩からの挨拶にも笑顔で答える。
この子可愛いな~
栞は思っていた。
ふわふわした髪に大きな目、ぷるぷるした唇
女の子ーって感じ?後輩に対する挨拶も愛想よくふりまいてるわけではなさそうだし自然
「俊!」
栞は名前を呼ばれて振り返った男子を見た。
俊が走ってくる。
「俊、御崎さんね、前の学校でサッカー部のマネージャーをしてたんだって、今日見学いい?」
「いいよ、そこのテントに椅子あるから座って見てるといいよ」
俊もさわやかな笑顔で栞に接する。
「キャプテンの河田俊くんだよ、今、同じクラス、まだ男子の顔なんてわからないよね」
「うん、まだちょっと覚えてないかな」
「ここに座ってて、私は着替えてくるね」
栞は椅子に座ってグランドを見回した。
顧問の先生はまだ来てない、キャプテンが指示出しかな
練習着もお揃いではない各自、自分の服だ。
後輩も、ちわっすなんて気軽に挨拶してたからそんなに厳しい部活ではなさそう
琴菜がジャージに着替えて走ってくる。
「ごめんね、一人にさせちゃって」
息をきらしてやってくる。
琴菜はテントにあるスクイズボトルとカゴを持つ
「ちょっとドリンクを作ってくるね」
「何個作るの?」
「とりあえず10個、また無くなったら作るけどね、私、トロくて時間かかっちゃうんだよね」
琴菜はまた笑う
男子はこういう子に惹かれるのかなーと栞は思った。
あたしには部活の時にこんな笑顔はしたことなかったかも、男ばかりの部員を真面目に練習さすにはこんな笑顔では出来てなかったと思う。
練習に手を抜いてたら注意し、鬼マネージャーなんて呼ばれてたよな
サッカーが好きで入ったからチャラチャラ練習するのは許せなかったし、ここより人数多かったから雑用は一年もしてた。
はっきり言っちゃう性格だから煙たがっていた部員もいたかも……
グランドをみながら栞は思っていた。
「面白いかも……」