白雨の騎士
名前を呼ばれたのは全部で5名。

ルイの名前も呼ばれた。


受かった者だけ残され別の部屋に案内された。


「…まさか、ここまで適当に選ばれるとはな」

流石のルイも呆れたように笑って呟いた。

シドは手を握りしめた。


部屋の中には背が高くガタイのいい兵士が一人立っていた。


「…紹介します。現近衛隊長のアートだ」


紹介されるとアートは大きな手を差し出し、一人一人と握手をした。


「君たちの配属はアート隊長が決める。では、後を頼みましたよ」


「はい。」


そう言うと試験官は部屋を出て行った。

アート隊長は5名の顔をじっと端から見つめた。

腰からは二本の剣を下げている。

流石近衛隊長だけあり、鍛えられた大きな身体と鋭い目付きは部屋の空気はピンと張り詰めた。


「…今紹介にあったように、近衛隊長のアートだ。君たちの配属は私が決める。今日は一度家に帰った後、明日の朝9時に再びここへ集まってくれ。」


アート隊長はそれだけ言うと部屋を出て行った。

扉が閉まると、シドとルイ以外は大きくため息をついた。
< 30 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop