白雨の騎士
「…おつかれさん」

深夜2時過ぎ。

舞踏会会場から逃げ出した男と、他に兵士に成りすまして潜んでいる者がいないかの確認で、やっと部屋に戻ったシドはベッドに倒れこんだ。


ルイもさっき戻ったようだ。


「…全く迷惑な連中だよな。これで二度目の侵入らしい。城の警護はどうなっているんだろうな。」


シドは横たわったまま天井を見つめた。


「王弟殿下達に怪我はなかったか?」


「ああ。でも暫く舞踏会へは参加しないだと。まぁ無理もないがな。奴らはアリス様が時期国王になる事に強く反対している。」


この国の歴史上、女の人が王の座に就いたことはない。

代々男が王になるという事は暗黙の了解となっている。

しかし、現国王がこれからの時代に古い考えばかり根付いていては国は繁栄していかないと考え、一年ほど前に自分の娘であるアリス様を時期王にすると発表した。


「…なぁ、ルイはどう思う?アリス様が王になる事」

シドは起き上がりルイに問いかけた。


「…まぁ、女だからといって王になれないというのは古い考えかもしれない。でも、今までの歴史の中で女の王は例がない。反発する人達の気持ちも分かるがな。」


珍しく、真剣な眼差しで答えたルイにシドは少し驚いた。



「明日も早い。もう寝るぞ。」

そう言って、ルイはベッドに横になった。


ふと、今日のアリスを思い出した。


アリスの細い手を握った感触が、手から消えない。


「…どうして、嘘を付いたのだろう…」
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