白雨の騎士

「では、また夕食の席で。」

お茶会が終わり、アリスが席を外すとミラは真っ先にシドの元に来た。


「よし、着替えて来るから待っていて。」


ミラの言葉にアンナがシドを見た。


「あの、ミラ様…?」


「ああ、剣の稽古に付き合ってもらう約束なの。あ、あなたにも付き合って貰おうかしら。女の人で近衛の隊長なんてすごいわね。」


アンナはどう言うこと?と言うような顔でシドを見た。


「とにかく着替えて来るわ。」


そう言ってミラは部屋に戻って行った。


「…ちょっとシド、どう言うこと?!」


「いや、昨日突然頼まれて…」


アンナは腕を組みはぁっと深い溜息をついた。


「…怪我でもさせたらどうするのよ。」


「大丈夫ですよ。」


そこへ側近のメルがやって来た。


「…ミラ様は毎日稽古なさっています。剣の練習で怪我を負うようなことはしませんよ。どうか、お手合わせしてあげてください。」


「は、はぁ…」



< 89 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop