偽物の恋をきみにあげる【完】
パソコンを開いて、さっそくDMを確認する。

『つーちゃん、こんばんは。今日サイト見ました?』

コタローくんからだ。

喜多野課長はコタローくんではないとはっきり思った途端、文字が課長の声を発しなくなるのだから不思議だ。

「ムーンリバー? 今帰ってきたばっかで、まだ見てないの。なんで?」

『遅くまでお疲れ様です!じゃああとで見てくださいね。急いで書いたので粗いんですけど 』

「書いた? コタローくん、新作書いたの?」

『見ればわかりますよ^^ というわけですいません、僕は体力の限界なので失礼します~』

コタローくんの仕事は、まだかなり忙しいのだろうか。

「うん、わかった! 見とく! ゆっくり寝てね」

『つーちゃん、いい夢を』

いい夢を? もう寝るのはコタローくんの方なのに、なんだか面白い。

私はSNSを閉じると、サイトのマイページを開いた。

お気に入りクリエイターの更新情報に、コタローくんの初めて見る作品が上がっている。

タイトルは「恋文」……ラブレター?

『もし想いを文字にするなら、ラブレターじゃなくて物語を書くかな』

コタローくんがそう言ったのを思い出した。

まさか、コタローくんからのプレゼントって!

私は胸をときめかせながら、その作品を開いた。
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