偽物の恋をきみにあげる【完】
*****

大雅から連絡が来ない──。

最初は別に、気にも止めなかった。

私達は元々、そんなに頻繁に連絡を取っていなかったからだ。

大雅が私の家に来る日にだけ「行くよ」と連絡をしてくるのが、私達の基本スタイルだった。

だから元々、まる1日連絡が来ないなんていうのはザラだったし、だからと言って私から連絡することも殆どない。

それに、旅行で『ムーンリバー』を不在にした間に、連載のストックはなくなってしまったし、いただいたコメントの返信もたまっていて、私もサイトにかかりっきりだったのだ。

あとは、愛してるなんて言われて、安心しきっていた所もなくはない。

そんなわけで、旅行から3、4日連絡がなかったのに、きっと相変わらず忙しいのだろう、で片付けてしまっていたのだ。

けれど、そんな悠長に構えていた私の身に、ある異変が起きた。

旅行から帰って来て、5日目のことだ。

ここ数日なんとなく体が怠くて、でもそれはきっと旅疲れだと思っていたのだが……。

その日は朝からやけに胸が張って痛くて、ついでにほんのり下腹も張っている気がした。

生理が近いのかな?

──。

───あれ?

そういえば、前回の生理って、いつ来たっけ?
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