偽物の恋をきみにあげる【完】
私は元々軽い生理不順な上に、3年も恋人がいなかったせいで、生理周期に対する意識がすっかり薄くなっていた。

だから、前回の生理からとっくに1ヶ月以上経っていることに、全く気づかなかったのだ。

いくら不順とはいえ、前後3日以上ズレることは殆どなかったのに。

……まさか。

…………妊娠した?

あり得ない話ではなかった。

大雅とセックスする時はいつもゴムなんて使わず、ただ外に出しているだけだったのだ。

とりあえず検査をしてみようと、会社帰りにドラッグストアに寄って、検査薬を購入した。

こんなものを使うのは16歳以来だ。

まだ高校生だったから、本当に焦った。

あの時、検査結果を待つたった何十秒が、まるでこの世の終わりみたいな気分だった。

あ、コンテストの『世界の終わり』の題材、これじゃ駄目かしら。

そんなどうでもいいことを考えながら、検査薬に尿をかけ、結果が出るのを待つ。

「……わー、まじかー」

くっきりはっきり出てしまった赤紫色の太い縦線を見て、思わず独りごちた。

結果は陽性だった。

とりあえず、大雅に相談しよう。

私はトークアプリを開いて、大雅にメッセージを打った。

「大雅ちゃーん、大事な話があるから、手が空いたらいつでもよいので連絡くださ~い(><) 」
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